Matsumura 松村組

松村組プロジェクトストーリー

京都市立芸術大学及び
京都市立銅駝美術工芸高等学校
移転整備工事
ただし、A地区及びB地区建築工事 Vol.2

2022.7 複雑な曲面が織りなす屋根(A地区・鴨川より)

Site On July 2022

敷地内の建物をぐるりと取り囲む京都らしさの象徴、
折れ・反り・起くり(むくり)のある屋根の施工が進んでいます

2023年1月末の引き渡しに向けて工事は佳境を迎えている。進捗率は約53%(7月21日現在)だが、内装関連の工事も始まりさらに活気を増している。今回のレポートでは、新キャンパスの特徴的な意匠のひとつである屋根を特集する。
「寺社仏閣の屋根は京都の町を象徴するもののひとつです。京都の屋根景観に現れる『折れ、反り、起くり(むくり)』の要素を継承しつつ、新しくデザインされています。新キャンパスの設計においては、京都らしさの象徴としてこの波打つような屋根で一連の建物を一体化しています」。

工事事務所 所長 中田 利幸

連続する複雑な曲面で京都の町並みを再現
すでにできあがった屋根を見ると、狙いどおり丸くなめらかに仕上がっている。しかし、折れ・反り・起くり(むくり)屋根を、鉄骨造で再現するのは簡単ではない。「屋根下地自体は多角形で構成されていますが、建物全体を見た時に自然なアールとして見え、京都らしさを表現できるよう鉄骨母屋材の高さを細かく調整するなど苦心しています」と中田はいう。竣工後には広い構内の各建物が波打つ屋根で連なり、美しい一体感がもたらされる。スケールの大きな、新しい町並みがまもなく生まれる。

折れ・反り・起くりを支える鉄骨 大型の作品制作に対応できる天井高 各教室を小路の町家に見立てた外部通路 翌日の作業内容や手順を確認する昼礼

Staff Interview 1

どうしたら職人の方々が
作業しやすいかを
最優先に考え行動しています
工事事務所 所員 仲里 レイナ

仲里は入社2年目の新人監督だがとても落ち着いて見える。それもそのはず、大工を父に持ち、仕事道具や現場に慣れ親しんでいたという。「父の働く姿に憧れていました。それで中学生の頃には現場監督になることが夢になり、今それがかなったところです」。
この現場では外部足場や型枠保持工について、設計図面から手順や材料を割り出し、発注、施工管理、検査対応まで担当する。心がけているのは、すべてをスムーズに安全に進行すること。そのために監督として「事前に準備して皆さんが作業しやすい環境をつくること」に注力している。

ボールボイドスラブの施工管理が佳境に
ボールボイドスラブ工法とは、球体の発泡スチロール材を型枠とする工法で、コンクリートの使用量を3割程度減らせるという。
軽量で高強度、環境負荷も減らせるなどメリットは大きい。「ミキサー車の台数を大幅に減らせるのも、作業ヤードが狭いこの現場にぴったりでした」。取材翌日には溶接の品質検査に立ち会う。「こうした検査を一つひとつパスしないと先へは進めません。明日に向けてしっかり準備します」。

ボールボイドスラブ工法の発泡スチロール

親子で共有する建築現場の楽しさ・やりがい
現場で働くことの楽しさ、やりがいを、よく弟に話をしているという仲里。
「ある日、私と同じ道を目指すと決めた、と。とてもうれしかったです」。
父からのバトンは弟にまでつながった。

翌日の溶接検査に備える

Staff Interview 2

経験を一つひとつ積み重ねて
知見を深め、
次の現場で活かす。
その繰り返しです

大学2棟を担当している勝又。A地区の中心的な現場監督だ。「いろいろな現場を経験してきましたが、ここは特別な感じ」がするという。キャンパス全体をつくること。京都市、大学、JV設計事務所、監理事務所など関係機関が多いこと。作業・搬入ヤードが狭く普段以上に打合せ調整に時間を要すること。そして各棟がユニークでありコンセプトや設計へのこだわりが強いこと。そのため、今までの現場にも増して密なコミュニケーションを重要視している。「たとえば屋根ひとつとっても、他棟との統一性があるためJV設計事務所・監理事務所との意思疎通や調整にはかなり時間をかけました」。

作業ヤードの狭さをカバーする走行クレーン
工事事務所 所員 勝又 健太郎

コンピュータにはできない仕事がある
打合せが多いことでもわかるように、現場監督の仕事はアナログ的な部分が多い。施工図確認、施工計画、発注、安全・品質・工程管理などなど。トータルでバランスよく実行する能力は、経験がモノをいういわば職人技でもあるのだ。また、現場監督の仕事は異動がつきもの。次の現場ですぐにチカラを発揮できないようでは監督は務まらない。「建物だけでなく、地域の暮らしや価値観が異なるので同じような現場はひとつもありません。ここでの経験もいずれ他の現場で活きてきます」。
経験の数だけチカラがつく。やさしい眼差しには信念が宿っている。

打合せを繰り返して連携を強化する